店長のたそがれ

最後まで使い切ることの大切さを、痛感しています。
 
日本に来たばかりの頃、道端に積み上げられている電化製品の数々をはじめて見て、まさか捨てられているとは思いませんでした。
まだまだ普通に使えるものを捨てる、という意味が、なかなか理解できなかったことを覚えています。
使えるのに捨てる、単に新しいものが欲しいから捨てた、使えるのに・・・。

私の店の商品は絨毯です。
ペルシャ絨毯の価値というものは、日本の着物などと似ています。
親子や孫にいたるまで何代もの家族が受け継いでゆく、擦り切れたら繕って、穴が開いたら補正して、大切に大切にしてゆく伝統であり、色が飽きたからとか、形が気に入らなくなったからとか、大きさを変えたいからという理由で、簡単に捨てたりするものではありません。
ですが、ひと織りひと織り丁寧に手織りして織り上げた絨毯は、長く使えるし丈夫でもあるので価値が高いゆえに価格もそれなりです。
 
ホームセンターや量販店に行くと、アクリル製のラグなどが驚くような安さで売っています。
Tシャツを買うのと同じくらいの価格で手に入ってしまうものもあります。
安価に品物が買えるから、簡単に買い換えてしまうのです。
物の価値と同じように、人の感情さえも安価になってしまう気がして怖いです。
 
エコの観点から、物を大切にしましょうといわれています。
ゴミを減らすためには、捨てることを止めるしかないのです。
でも、安価に家財道具や電化製品を市場に流せば、品物の回転率が上がるのは当然のことといえます。
回転率が上がるということは、それだけ捨てられるものも多い、というだけのこと。
そういう市場を作り上げておいて、物を大切に、といわれても、品物の出回るスピードに人間の良識がついて行けなくなってしまいます。
 
お金が無いから安いものを買う、のではなく、お金が無ければ我慢する、というのは不可能なのでしょうか?
お金を貯めて、一生使えるものに投資することの価値をもう少し考えてみて、そしてそれが実行できたら結果的に大きなエコロジーになることを考えてみてください。
 
いま目の前にあるボールペン、サインペン、あなたはインクが出なくなる最後まで、使い切れますか?
そのノート、余すことなく書ききれますか?
1ページも残さず書き切っていますか?
そのソファー、カバーをかけてもう少し使ってみようと思いませんか?
そのクッションカバー、洗濯したらきれいになります、ファスナーが壊れたらボタンにしてみませんか?
 
誰だって新しいものは気持ちがいいものです。
でも新しいものを簡単に手に入れる悪い癖を、そろそろ直す努力をしてみようではありませんか。
 
天然資源は必ず枯渇します。
人工資源は科学物質がほとんどです。
物が豊富な生活は、心を豊かにしたでしょうか?
もっと皆さんの心を信じて大切にして、子供たちに素晴らしい地球を残そうではありませんか。